はじめに
企業のデバイス管理は、社員数が増えるほど複雑化します。
特に10,000人超えのユーザー環境では、属人的な管理や旧来型の仕組みでは対応できません。
今回は、Microsoft Intuneを活用した大規模デバイス管理の方法と、
最新のMicrosoft 365ライセンス体系に沿った最適な提案について、実務視点でわかりやすく解説します。
大規模環境でIntuneを導入するメリット
メリット | 説明 |
---|---|
クラウド管理 | 全国、海外拠点問わずリモートでPC・スマホ管理 |
セキュリティ強化 | 紛失時リモートワイプ、BitLocker強制 |
自動化対応 | 端末登録からポリシー適用まで全自動 |
コンプライアンス遵守 | 法規制(Pマーク、ISMS)にも対応しやすい |
スケーラビリティ | ユーザー数増加にも柔軟対応、追加コストなし |
IntuneにWindows PCを登録する方法(大企業向け)
ユーザー数10,000超では、手動登録では限界があります。
基本方針は「自動登録(Auto Enrollment)」です。
■ 登録方法
方法 | 説明 |
---|---|
Azure AD Join+Intune自動登録 | 新規PC購入時にセットアップから自動登録 |
Hybrid Azure AD Join+Intune | オンプレドメイン参加PCを自動登録(GPO制御) |
Intune活用に必要なMicrosoftライセンス
大規模運用では、単にIntuneが使えるだけでなく、強力なID管理・セキュリティ機能も必要です。
📋 Microsoft 365 ライセンス比較表(2025年版)
ライセンス名 | 月額価格(税込目安) | Teams含まれるか | 主な機能 |
---|---|---|---|
Microsoft 365 Business Premium | 約 ¥2,750〜¥3,080 | ✅(※2025年中変更の可能性あり) | SMB向け、Intune+Office+Teams |
Microsoft 365 E3(Teamsなし版) | 約 ¥4,700〜¥5,000 | ❌(Teamsなし) | Office、Exchange Online、Intune、Entra ID Premium P1 |
Microsoft 365 E5(Teamsなし版) | 約 ¥7,700〜¥8,400 | ❌(Teamsなし) | E3+セキュリティ強化(Defender XDR等) |
📋 Teams利用に必要な追加ライセンス
ライセンス名 | 月額価格(税込目安) | 説明 |
---|---|---|
Microsoft Teams Enterprise | 約 ¥500〜¥800 | Teamsチャット・会議・ファイル共有機能を追加 |
大規模企業へのおすすめ構成
項目 | 内容 |
---|---|
メール、Office、ID管理、Intune | Microsoft 365 E3(Teamsなし版) |
チャット・ビデオ会議(Teams利用) | Microsoft Teams Enterpriseライセンス追加 |
✅ 正式な構成提案
Microsoft 365 E3(Teamsなし版)+ Microsoft Teams Enterprise
理由:
Business Premiumは300ライセンス制限があり、大規模運用には不向き
E3ならユーザー数無制限対応、**企業向け必須セキュリティ機能(DLP, AIP)**が標準搭載
必要に応じてオプションで「Microsoft Defender for Endpoint」「Microsoft Purview」追加可能
- Microsoft 365 E3 ライセンスにはTeamsライセンスが含まれていないため、「Microsoft Teams Enterprise」が追加で必要
注意点:なぜTeamsライセンスが別になったのか?
2024年10月からMicrosoftは全世界で「Microsoft 365 E3/E5はTeamsなし版」を標準に切り替え
これにより、Teamsを利用したい場合は別途「Microsoft Teams Enterprise」ライセンスが必要
従来は一体だったが、現在は明確に分離購入が必要になっている
まとめ
リモートワーク、ゼロトラスト時代の大規模デバイス管理には、
🎯 【Microsoft 365 E3(Teamsなし版)+ Microsoft Teams Enterprise】
が標準設計となっています。
導入前には、
必要ユーザー数の正確な把握
自動登録の設計(Hybridか完全クラウドか)
Teams利用ポリシーの事前設計
をしっかり計画することが成功の鍵です。